[チャペル]2020年4月21日 新年度を迎えて(古川靖洋 学部長)

4.21学部長

<メッセージ全文>
皆さま、関西学院大学総合政策学部への入学おめでとうございます。私は学部長の古川靖洋と申します。今年度は569名の新入生、21名の編入生を新たに迎えることができ、誠にうれしく思います。改めて、学部を代表して皆さまに心よりお祝い申し上げます。皆さまは、それぞれ大学進学に向けて勉強や課外活動など一生懸命に取り組んできたことと思いますが、その努力に対して敬意を表すると同時に、暖かい愛情を持って皆さんを支えてこられたご家族の方々をはじめ関係する皆さまにも心よりお祝い申し上げます。

さて、関西学院大学総合政策学部はこの4月で設立から25年が経ちました。25年前に良い未来を実現するため、「自然と人間の共生ならびに人間と人間の共生」の理念を理解し、その実現を通じて、社会の持続的発展に資する人材を育成するという目的のもと設立されたわけです。25年前の1995年は阪神淡路大震災があった年で、入試もまともにできず、まだまだ混乱が続く中で学生諸君がこの神戸三田キャンパスに集いました。 

人間はややもすれば、自分勝手で回りを顧みない行動をとってしまいます。そのため、様々な社会問題が発生するわけです。身近なゴミの問題や環境問題しかり、国際問題しかりです。しかし、これを放置してしまうと健全で安全な生活が脅かされてしまう可能性もあるわけです。世界レベルで健全かつ安全な社会を作るためにはどのような政策が必要であるかを考え、その実現のために我々は具体的にどのように行動していくのかを考えるのが総合政策学部の目的なのです。

25年が経過した今日、日本だけではなく世界の多くの国々の人々が、新型コロナウイルスの脅威にさらされています。現在、兵庫県下には緊急事態宣言が発令されており、感染防止のために皆さんの入学式は中止となり、Face to Faceでまだ皆さんにお目にかかることはできていません。せっかく希望にあふれた大学生活が始まると思ったのに、自宅でオンライン授業を受けなければならない皆さんは、本当に心配でならないと思います。学部スタッフも、一日でも早く皆さんにお目にかかりたいと思っていますが、今は少し辛抱していただきたいと思います。

では、この新型コロナウイルス問題にどう対処すればいいのでしょうか?テレビや新聞などを見ると、いろいろな分野のコメンテーターがああだこうだと色々な意見を述べていて、それを見ているだけで気分が悪くなってしまう方もいるかもしれません。しかし、そのような多様な分野の諸問題を総合的にとらえ、最善の解決策を考えるのが総合政策学部での学びなのです。例えば、感染防止のためには都市をロックダウンするべきだという意見がありますが、人々の行動に制限を賭ける法律や制度は基本的人権を脅かすものです。果たしてそのような強力な権限を簡単に首相や知事に与えてもいいのでしょうか?ロックアウトをする場合には、経済的な補償が必要だという意見がありますが、財政的に厳しい日本政府がそれを安易にやってしまうと、将来大きな赤字を若者に残すことになります。将来の財源が確保できないのに、果たしてそれをすぐに実行してもいいのでしょうか?目先のことだけを考えて、適当な意見を言うのは本当に無責任です。何らかの立場で解決策を考えなければならないですが、きちんと他の領域のことを考えたうえで、短期的な視点と長期的な視点を調整したうえで、それを示すことが必要なのです。

従来の大学教育では、例えば経済学や財政学、政治学、法学など、特定の学問領域から社会における諸問題の解決策を考えていました。しかし、例に挙げた新型コロナウイルスへの対応策のように、特定分野にだけ特化した対応策ではらちが明きません。同様の事柄はこの社会の中に多々あるのです。このように様々な視点や利害関係が複雑に入り組んだ問題への解決策を考えるツールを学ぶのが総合政策学部の学びなのです。ネイティブ教員による英語の授業をはじめ、高校までに習ってきた授業とはかなり内容が異なるもので、はじめは戸惑うこともあるかもしれませんが、これから皆さんが生活していく社会における問題を解決するために、自分が関心のある分野を積極的に学んでいってください。そしてぜひ積極的に世界に飛び出していってください。

今、総合政策学部の目的とその学びについてお話ししましたが、日常生活では、目的を特に意識せず、組織の中で活動していることが多々あります。多くの行動は従来の延長線上で行なえばよいため、ある行動をすること自体が目的化してしまっているのです。私は経営学が専門ですから企業の例を挙げますが、大企業になればなるほど、個々の人々の仕事は細分化されたものになり、全体として一体何を目的として行動しているのかを認識しづらい状態になっている場合が多くあります。こうなると人々は機械的に動くようになり、他のメンバーとの協力も不活発なものとなってしまいます。

一方、全体の目的が明確に決まっており、各メンバーがその目的に共感している場合、各メンバーの行動に変化が出てきます。全体の目的を実現するために、自発的に行動し、他のメンバーと協力するようになるわけです。つまり、目的は人の内面に影響を与えるのです。幸い、皆さまは総合政策学部の目的に共感をもったためこの学部を選択してくれたと信じています。入学に際して、学部の目的と大学へ入った自分の目的を再確認し、それぞれの目的を達成するために何をしなければならないかを十分に理解した上で、学生生活を送っていただきたいと思います。しっかりとした目的があれば、オンライン授業がしばらく続いたとしても、ぶれることなく学習することができるでしょう。

最後に、通学が再開されてから皆さんが過ごすことになる神戸三田キャンパスは自然豊かな環境で、理工学部の学生がそばにいる文理融合キャンパスです。そのキャンパスで幅広い知見をもった教員や仲間と出会い、積極的に多くの人々と交流し、充実した教育プログラムのもと、世界レベルで役に立つ様々な力を身につけ、世界のあらゆる分野で活躍する人材となってください。一日も早く皆様にお目にかかることができることをお祈りいたします。ありがとうございました。

  • 投稿者:
  • 投稿日時:2020/5/15 23:56

コメント:0

この記事にはコメントすることができません。

プロフィール