【チャペル】2020年5月19日「困難な時に味わう言葉」細見和志教授(哲学概論、公共哲学などを担当)

5.19 細見先生

(要旨)
困難に出会ったとき、私たちはどうすればいいのでしょうか。歴史を振り返れば、人類は様々な困難に直面してきました。こんな時は、過去の先人の言葉に耳を傾けましょう。今日紹介するのは、「聖書」の言葉と、古代ローマ、ストア派の哲学者 エピクテトスの言葉です。

【聖書】ローマの信徒への手紙5章1~5「わたしたちは知っているのです。苦難は忍耐を、忍耐は練達を、練達は希望を生むということを。」
これはパウロがローマにいるキリスト教信徒にあてた手紙にある言葉です。苦しいこと、困難なことに出会うと、私たちは委縮してしまって何も考えられなくなります。しかし困難を恐れてびくびくしているだけでは何も解決はしません。パウロは、私たちには困難に耐える力が与えられていることを知ってほしいいと訴えています。忍耐は、単に我慢するということではありません。忍耐は私たちに、自分には困難に対処する力があることを気づかせ、それが練達を生み、困難を乗り越える希望へとつながっていくのだ、とパウロは言いたいのです。

【エピクテトス『提要』(10)】〈困難こそが君を成長させる〉「きみが出くわすことになるどんな事態に対しても、君自身を振り返って記憶しておくがよい。困難な事態に対処するために、君がどんな能力を持っているかを探し出すように。もし、魅力的な美男美女を目にすれば、彼らに対する自制心をきみは見つけるだろう。もし苦労を背負わせられるならば、忍耐心を見つけるだろう。口汚く罵られるならば、辛抱強さを見つけるだろう。」

パウロとほぼ同時代の哲学者 エピクテトスの言葉はさらに具体的に困難に出会ったときの心構えを説いています。困難は避けることはできないし、恐れおののいていてもどうにもならない。むしろ困難は自分の能力を見つめなおすいい機会なのだ、とエピクテトスは言うのです。困難な時にこそ、自分に何ができるか、を冷静に探し出せ、そうすれば困難は自分を成長させる絶好のチャンスとなる、と説いています。自粛が要請され、家にこもって生活することを強いられている今だからこそ、自分自身を、自分の心を冷静に第三者の目で観察し、困難に対処する知恵を養う必要があるのではないでしょうか。

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  • 投稿日時:2020/5/23 0:08

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