投稿日時:2010/01/9 01:07
高畑先生が「This is it」を取り上げてらっしゃいますが、
私は、2009年下半期で「This is it」と同じくらいアツかった音楽ドキュメンタリーを
「映像制作者として観ておきたい映画」としてここであげておきたいと思います。
その名も
No.11
「アンヴィル!~夢を諦めきれない男たち~」 2009 アメリカ
http://www.uplink.co.jp/anvil/

【あらすじ】
1980年代、音楽界に絶大な影響を与えたものの、ほとんど存在を忘れ去られていた
ヘヴィメタルバンド、アンヴィルの軌跡を追ったドキュメンタリー。
地元でさえない仕事をしながらのバンド活動や、悲惨なヨーロッパ・ツアーなど
バンドの夢と現実を映し出す。(中略) どんな苦境にあっても夢をあきらめず、
30年以上もバンド活動を続けてきたメンバーの姿に胸が熱くなる。
(Yahoo映画より)
これほどまでに音楽に人生を捧げてきたのに、見返りを得ることができない
表現をして生きていくということはそういうことと
表裏一体であることをしっかりと見せつけられます。
売れる売れないだけではない、トップに上り詰めても
その後もそこに居続けられるのは本当の少数だけという
厳しい現実が克明に描き出されます。
しかし、この映画は見返りのない音楽への愛に突き進む
音楽家の悲劇についての映画ではありません。
そんな状況にあるけれど、いまだにその夢を支えてくれる人間たちとの、
30年の時間に熟成された人と人との関係によるヒューマンドラマなのです。
だから「制作者として観ておきたい映画」だと私は思います。
「表現するって厳しいね」ってことではなく、
「世の中上手くいかない!それでも・・・」という姿勢と、
そうやって真摯に戦い続けた者には、望んだ形でなかったとしても、
決して多くはないかもしれないけど、報いはあるんだってことに何よりも心を打たれました。
50歳にもなって心をさらけ出して喧嘩して泣ける相棒なんて、普通得られないですよ!
30年後に再会して手を貸してくれるプロデューサーも、レコード製作費を貸してくれる姉も
夢を信じてくれる奥さんも、ドキュメンタリー映画の題材にしてくれる元ファンも。
そういう人たちがいることが、彼らの得られた報い。
戦い続けることはとてもとてもしんどいけれど、
それでもその向こうには何かがきっとある、と希望をくれる映画です。
とにかく見てください!シネリーブルで公開中で、そろそろDVDも出ます!
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投稿日時:2009/12/30 00:59
さて、今日も張り切って更新いってみます!

No.10
「男たちの挽歌」 1986 香港
「男たちの挽歌Ⅱ」 1987 香港
ちょっと反則ですが、今回は2本をまとめて紹介。
レッドクリフやミッションインポッシブルⅡ、フェイスオフで有名な
ジョン・ウー監督の出世作です。
香港ノワールといわれる、まぁ香港版「仁義なき戦い」みたいなジャンルの映画です。
この映画のすごいところはもうなんといっても型の美しさ、美学。
実際にはありえないような、リアリティとは無縁の、
二丁拳銃をぶっ放しながら、スローモーションで飛ぶチョウ・ユンファという型の美学。
サム・ペキンパー「ワイルドバンチ」、セルジオ・レオーネ「夕陽のガンマン」らの
西部劇的決闘シーンから脈々と受け継がれるアクションの型というものを
徹底して追求することで誰も追いつけない圧倒的な美学を
生み出してしまったジョン・ウーの凄さがこの2作に凝縮しています。
「過剰は成功の種」という例もあるんだということを理解するための1作。
※ちなみに主演で2丁拳銃使いのチョウ・ユンファは実写版ドラゴンボールの亀仙人ですw
つづく
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投稿日時:2009/12/29 01:07
映画50選を始めたら、どうやら高畑先生のブログでも取り上げていただけた模様。
http://kg-sps.jp/blogs/takahata/2009/12/27/466/
大変光栄です。ブログ拝見させていただいていますが、
高畑先生の映画の知識の豊富さに毎度毎度驚くばかりです。僕ももっと勉強せねば…
「激突」の背景全く知りませんでした。元ネタがあったんですね。
50選の中身がどれだけ高畑先生の100選とかぶるのか、楽しみにしながら、
続けさせていただきたいと思います。
と、思ったら畑先生からも記事で言及していただきました
http://kg-sps.jp/blogs/hata/2009/12/28/1533/
宝塚映画でつくられていた映画のリストが載っています。
正直なところ、あまり日本映画には強くないので
作品的にはほとんどわからない映画ばかりなのですが、
中期には大スター、嵐寛寿郎の出演の映画が何本も撮られたり、
後期には小津安二郎やマキノ雅弘などの名監督の作品が登場するなど、
映画の街としてかなりのものだったんだろうなぁと推察します。
最後のほうには加山雄三の若大将シリーズや三船敏郎、坂本九、
今も活躍されている先代の市川染五郎(今の松本幸四郎)、藤田まこと、
仲代達矢なんかも登場して、こんなメンツが
宝塚に集結していたんだなぁと感慨深いものがあります。
今も宝塚で撮影続いていたら絶対毎日覗きにいってたのになぁ笑
このあたりの作品になると、探すのも一苦労ですが、有名どころから観ていきたいなと思います。
さて、では今日も50選の続きを少々・・・

No.8
「現金に体を張れ」 1956 アメリカ
スタンリー・キューブリックのハリウッド第1作。
他のキューブリック作品に比べて目立ちにくい地味目な作品ですが、
この作品では時系列シャッフル的に、作中で起こる出来事を起こった時間の順番通りではなく
オムニバス的に3つの視点から競馬場強奪計画が描かれます。
時系列をうまく使った構成の例としてみるべき名作です。

No.9
「2001年宇宙の旅」 1968 アメリカ
いうまでもない超有名作品ですが、「映像制作者として観ておきたい映画」というくくりでは
絶対に紹介しなければならないであろうと思います。
数少ない本物のサイエンスフィクションといえる作品であるという点でも重要ですが、
何といっても素晴らしいのは、冒頭のサルのなわばり争いから
2001年の宇宙へつながるシーンの美しさ。
あの一連のシーンほど力強く端的に映画の内容を伝えたシーンは他にないと思います。
2001年宇宙の旅とは映像で語る映画であり、言葉で置き換えることのできない映像体験を
提示した唯一無二の作品なんだとあのシーンから感じます。
究極の映像体験として、そして最高のSF映画として、絶対にみるべき作品です。
今回はキューブリック2作でした。
まだまだ続きます・・・
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投稿日時:2009/12/27 02:02
続いてPart2です。

No.6
「丹下左膳余話 百萬両の壺」1935 日本
28歳に日中戦争で戦死した天才監督、山中貞雄の作品。
5年間の監督生活の中で26本の作品を制作し、
現在みることのできるのはその中の3本だけという伝説の監督。
その3本のうちの1つがこの映画です。
はじめて見た時、あまりのおもしろさに心底驚きました。
ビリー・ワイルダーを思わせるようなアメリカ的なモダンな明るさと
時代劇の世界観と定型をミックスさせた傑作エンターテインメント。
映画を面白くするのはテクノロジーじゃなくてアイデアだ!と
自戒するときにみるのに最適です。

No.6
「あの頃ペニー・レインと」2000 アメリカ
1970年代のロック最盛期にロック・ジャーナリストとして
バンドに同行して取材していく15歳の少年の旅を描いた作品。
実は監督のキャメロン・クロウ自身が15歳のときにローリングストーン誌の記者になり、
ロックバンドの取材をしていたという体験をもとに作られた半自伝的映画である。
自身の体験から生まれたテーマがいかに雄弁でリアリティを持つかということが
しみじみとわかる名作ロードムービーです。

No.7
「自転車泥棒」1948 イタリア
WWⅡ後の貧しいイタリアを舞台に、やっとみつけたポスター貼りの
仕事中に自転車を盗まれた主人公が、仕事を続けるためにどうしても必要な
自転車を取り返すために街中をさまよい続ける話。
ドラマチックでエキサイティングなストーリーの起伏ではなくて、
ひとつの力のあるテーマを中心に、リアルに物語を紡ぐことで、
人の心を強く動かす名作を作ることができると証明した作品。
つづく
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投稿日時:2009/12/27 01:29
最近、友人や後輩と「ぜひ見ておくべき映画とは何か!」というテーマで
話をする機会がなぜか多い。そんな中、新着ブログを見ていたら、
高畑先生が「総政100本の映画編」というブログ連載をしてらっしゃるのを発見!
http://kg-sps.jp/blogs/takahata/2009/11/22/21/
これは僕も負けていられない!ということで、
勝手に始めさせていただきたいと思います。
名付けて!
「映像制作者として見ておきたい映画50選」
パッパカパーン、パパパパパッパカパーン。
チャラリラーチャラリラータタタターン。ジャカジャンッ!(20世紀フォックス風に。)
ということで、映像作るなら観ておくべき、と伊納が勝手に思ってる映画を紹介していきます!
まず、初めに5作品ほど。ちなみにランキングじゃないので順番は関係ないです。

No.1
「第三の男」1949 イギリス
まずは超基本から。これは観ないわけにいかないでしょうという一本。
映画史上、最も完成された映画といっても過言ではないかもしれない。
教科書的な素晴らしくまとまったストーリー構成はもちろん。
光と影、白と黒を使ったサスペンスな気分を盛り上げる画作りに最も注目したい。

No.2
「捜索者」1956 アメリカ
ジョン・フォード監督の名作西部劇。
ジョン・フォード作品なら「駅馬車」や「荒野の決闘」といった王道西部劇が
ランキングとかにはあげられることが多いですが、この作品は後期に作られた名作。
「駅馬車」のころと比べて、画としての演出が加わっている。
引きの画ですべての動きを説明的に表現する舞台的な撮り方から、
人物のアップから動きのアップ、というようなカットでの表現がより洗練されている印象。

No.3
「リバティ・バランスを射った男」1962 アメリカ
こちらもジョン・フォードの後期西部劇。
無法者がのさばる西部開拓時代から秩序の時代へ変わろうとしている時代の衝突を
それぞれの時代に生きる二人の男の衝突と友情から描いた作品。
ある程度、典型的なあらすじが決まっていることの多い西部劇というジャンルの中で、
ひとつのテーマを中心に描くということの大切さを痛感できる作品です。

No.4
「恐怖の報酬」1953 フランス
ベネズエラの田舎でくすぶる移民たちが、油田でおきた火事をとめるために
5000ドルでニトログリセリンをトラックで運ぶ仕事を請け負うという話。
命の危険という恐怖と向き合い続ける500kmの道のりのなんと恐ろしいこと。
ホラーや叫び系サスペンスとは全く違った静かな恐怖の描き方を堪能すべし。

No.5
「激突!」1971 アメリカ
かの有名なスティーブン・スピルバーグ監督の出世作。
知らない人のために書くと、スティーブン・スピルバーグとは
E.T.やジュラシック・パークやジョーズやインディ・ジョーンズの監督です。
彼が無名時代監督したテレビ用映画がこの作品。
主人公がハイウェイで強引に追い抜いたタンクローリーにしつこく負いまわされる話。
それだけのストーリーなのに、タンクローリーが
ジュラシックパークのティラノサウルス並みに怖い。
ストーリーと演出だけでこれだけモノを怖く見せることができるのかと
途中からこの作品を作ってるスピルバーグのことが怖くなってくるという化け物のような作品。
スピルバーグの才能が余すところなく発揮されている。
という感じで、とりあえず5作品。
西部劇とサスペンスに偏った感がありますが、
こんな感じに続けていきたいと思います!
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畑 祥雄
hata yoshio
写真家・映像+Webプロデューサー、
関西学院大学 総合政策学部 メディア情報学科 教授、
宝塚メディア図書館 代表理事、
略歴(簡略版・短)
畑 祥雄(...


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