Today’s Tsubuyaki~Voices of Japanese students~

  扉の閉まる音がした。はっとして振り向くと義理の兄の姿があった。古びたズボンにTシャツを着たユッサン。まっすぐ私に向かってくる。
「よぉ、元気か?お前の面倒を見にきたんだ」
  震える手でやりかけの洗濯ものに目を落としていると、突然、頭がひやっとした。次の瞬間には髪が燃えはじめた。私は必死に頭を叩き、叫び声をあげながら裸足のまま駈けだした。
                                      「生きながら火に焼かれて」より抜粋

  みなさんは「名誉の殺人」という言葉を聞いたことはありますか?今回のToday’s Tsubuyaki~Voices of Japanese Students~は名誉の殺人と称して生きながら火あぶりにされたスアドという女性の体験談を元に書かれた「生きながら火に焼かれて」という本の紹介です。
  スアドは中東シスヨルダンの小さな村で暮らしていました。スアドには学校に行く権利はなく、朝から晩まで家事や畑仕事、家畜の世話と、休む暇もなく労働を強いられていました。スアドに限らず、その村ではすべての女の子がそうでした。仕事が少しでも遅れれば父親にぶたれ、男性に少しでも逆らうような態度を見せれば罰として家畜小屋につながれ、家畜たちと一晩を過ごすことも珍しくありませんでした。スアドの家だけでなく、村全体にそのような風習が根付いていたのです。
  スアドが生まれて初めて自分の村の外の世界を知り、そこで生きる女性たちの姿を見た時、彼女は「ここにいる女性はなんてことをしているのだろう。きっといまにも殺されてしまう」と思いました。そこでは女性たちが半袖のTシャツを着用し、1人で町を歩き、男性と会話をしているからです。のちにスアドは、この光景は世界では当たり前に見ることのできる光景であることに気づきました。スアドはなぜ彼女たちが殺されてしまうと思ったのでしょう。スアドの村では、未婚の女性が1人で出歩くことは許されておらず、常に全身を覆い隠すような服を着用しなければなりません。また、男性と話すことはおろか、目を合わせることさえ禁じられているのです。また、彼女の村では、結婚することが1つのステータスでした。
  このような環境の中で、彼女は恋に落ち、子どもを授かりました。彼女の妊娠を知った家族は、未婚であるにも関わらず妊娠した彼女を一家の不名誉であるとし、その名誉を守るために、彼女にガソリンをかけて火をつけました。彼女はひどいやけどを負ったにもかかわらず、奇跡的に助かりました。彼女はその後、SURGIR(シュルジール)という名誉の殺人による被害者の救出活動を積極的に行っている団体によって、治療のためにヨーロッパへ渡りました。スアドの住んでいた村では、スアドは火傷によって死んだことになっているそうです。スアドが命を落とすことなく村から出てくることができたのはとても珍しく、名誉の殺人による被害者がもし村の外に出ることができたとしても、逃げた先まで家族が追ってきて殺されてしまうという例も少なくないそうです。
  みなさんは、このような信じがたい事実が存在すること、また、このようなことが今も中東諸国の女性を苦しめていることをご存じでしたか?私はこの本を読んで、「知らない」ということがどれほど恐ろしいことであるかを実感しました。この本の舞台であるシスヨルダンのように、日本では考えられないような習慣や考え方が根付いている国はほかにもたくさんあります。遠く離れた国で起きていることですが、私たちが真実を知ることによって何か変わることもあるのではないでしょうか。この記事を読んでいただくことによって、少しでも「名誉の殺人」について興味を持っていただけたら幸いです。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。

  Do you know “honor killing”? This time, I will write about the book “Burned Alive” which was wrote about honor killing. This book is based on the story of Souad who lived in one of small villages in West Bank of Jordan River in 1970’s. In this village, all girls are not permitted to show their skin, talk with man, and go out by themselves, and so on. Because of these rules, they always wear the clothes that cover their body completely, and they don’t know anything about out of the village. In the circumstance like that, Souad fell in love and got pregnant. It was the worst thing that gets pregnant before get married in the village. Her family inflamed Souad because she was considered as dishonor daughter. Fortunately, she could be rescued and went out from her village. She was lucky and it was a very rare case in the sufferers of honor killing. It was an incident in 1970’s, but even now, over 5000 girls were killed as honor killing. Finished reading this book, I wanted more people to know about this fact. It is happening in the countries that far from Japan, but I think we can change something by knowing it. I hope that you are interested in honor killing by this article.
Thank you for reading.

2013年度より小西尚実研究室ホームページが新しくなりました。新HPは下記リンクより閲覧可能です。

http://bridge-kgu.sakura.ne.jp/knack/

The new site of Prof. Naomi Konishi’s Seminar is here. Please check it out.

http://bridge-kgu.sakura.ne.jp/knack/

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  • 投稿日時:2013/8/27 22:32

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NAOMI KONISHI
研究分野のキーワード 国際協力、国際人事政策、能力開発・キャリア開発 研究内容 私は着任前、国内の外資系企業及び国際機関にて、組織の人事政策や人材戦略に基づく人事管理業務に携わっており、...

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