単位について;インチ、フィート、ヤード、ポンド、そして口径#1

2014 1/15 総合政策学部の皆さんへ

 以前、講義で「1マイルって何キロ?」と尋ねると、どなたも答えられませんでした。「それでは、アメリカでは運転できないぜ!」というところですが(「飛行機の操縦もできないぜ!」とも言えます)、皆さんはご存じですよね、1インチが25.4mmで、そのインチが12集まると1フィート(304.8mm)、そのフィートが3つで1ヤード(914.4mm)、そのヤードが1760集まると1マイルです(1,609.344m)。

 このヤード・ポンド法の基本であるフィートは本来「足の長さ」で、つまりは人の身体の一部が基準の身体法です。そのため、日本で古来から使われてきた尺貫法と同じく、捨てがたいところがあるわけです(地球の円周から機械的に計算されたメートル法とは、基本的になじむ訳がない)。ところで、日本での“尺”は「曲尺の1尺は日本語で言う1歩分(片足を前に踏み出した長さ)」(Wikipedia)とのこと、303.03mmなので1フィートとほぼ同じです。感覚的にはこのあたりがなじみやすいスケールなのかもしれません。

 日本人にとって、「六尺あまりの大男(身長180cm)」、あるいは「今までは人並みなりと思ひしに、五尺に足りぬ、四尺(ししゃく、と読んで、子爵にかける)なりとは!」という勝海舟の狂歌に思いが及ぶところです(勝自身は五尺=身長150cm)ぐらいだったとのこと)。

 もっとも、日本の法律ではヤード・ポンド法は例外規定をのぞいて、使用禁止です。それではその例外というと、Wikipediaによると、
(1)輸出されるべき計量器(計量法9条2項)
(2)航空機の運航に関する取引・証明(計量法附則5条2項1号)
(3)ヤードポンド法で表記されて輸入された商品の取引・証明(計量法附則5条2項2号)
(4)日本国内の合衆国軍隊・国際連合軍隊に属する者が用いる場合(計量単位令6条1項2号)
(5)自衛隊が武器の一部として使用する計量器(計量単位令12条1号ロ)
 となります。
 

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 先に触れた例外規定をみると、要点が三つあることはわかりますね。まず、輸出入(具体的には対アメリカでは、デファクト・スタンダードであるヤード・ポンド法にしないと、売れない。当然、トヨタやホンダ等の自動車もそのはずです)、次に同じデファクト・スタンダードとして航空機に使われるスケール(エアバス登場まで、大型旅客機はアメリカ製が独占状態でした)、そして軍事関係です。

 もちろん、このほかにも、たとえメートル法で表示されているとは言え、実質、ヤード・ポンド法が支配している世界もあります。例えば、PCのディスプレーのサイズ、14型というのは対角線の長さが14インチということです。あるいは、バターの重さ、業務用サイズは450グラムか225グラムだったりしますが、なぜ500グラムでないのか? あれはおそらくポンド(正確には453.59グラム)に由来するのでしょう。子どもの頃、不思議に思ったことでした。

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 ということで、軍事物質の多くが、大生産国・消費国であったアメリカ・イギリスの基準により、決められるわけで、この点、メートル法というフランス革命の一大遺産をかかえたフランスが軍需産業という点で遅れをとっていることが、単位の動向からもわかってしまいます(ある意味、エアバスはアメリカから重要産業を奪回して、グローバル社会でのプレゼンスを取り戻すための悲願とも言える企業であるわけです)。

 いずれにしても、アメリカ軍(人)の基本はヤード・ポンド法です。政策についてよく使われる譬えをもじれば、文字通り、“大砲”も“バター”もヤード・ボンド法なのです。「ハイネマンのホットロッド」と呼ばれた小型艦上攻撃機A-4から巨大爆撃機B52まで、彼らが落とす自由落下型爆弾はすべてポンド単位でした。

 例えば、A-4ではMk.81 汎用爆弾 (250ポンド=113.4キロ)か Mk.82 汎用爆弾 (500ポンド=226.8キロ)というわけです。B-52だと、Mk.82からさらに重く、Mk.83(1000ポンド)、Mk.84(2000ポンド;907.8キログラム)となります。

 そして特殊な爆弾にはディジーカッター(BLU-82/B)で15,000ポンド (約6,800 kg) 、あるいは第2次世界大戦でイギリス軍が使用したUボートバンカー破壊用、その名もグランドスラム(22,000ポンド;約11トン)があります。 

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 それでは、このあたりで話をきりあげ、to be continued・・・・・・としましょう。

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プロフィール


高畑由起夫
◆研究分野:生態学、自然人類学、霊長類学 ◆研究内容:主な研究対象はニホンザルやチンパンジー、ワオキツネザル等ですが、潮間帯の巻貝類や水生昆虫、カラス等も調べたことがあります。霊長類学の視点で、近縁...